純資産がマイナスってどういう状況?
純資産って何?
純資産とは、資本金や過去に蓄積した利益のことです。
家計に例えると、親に出資してもらって手に付けていないお金や給料などからコツコツ貯めた貯金というイメージといえるでしょう。
ここでは、純資産が貸借対照表のどこに記載されるか、実際の会社の場合、純資産はどのようなものなのかという点について解説していきます。
まず、純資産は貸借対照表の右側にまとめられる項目です。
貸借対照表とは、会社の財政状態を表す種類のことで、会社の成績の概要を示す表です。
右と左に分けられている表で、次のように分けられています。
(左側)
・流動資産:現金や預金、商品や製品、売掛金や約束手形
・固定資産:土地や建物、投資有価証券や機械装置
(右側)
・負債:借入金や商品を受け取って未払いになっている買掛金
・「純資産」:資本金や過去に蓄積した利益※ここで紹介する項目
左側には、現金や預金、お金にするための商品や製品、支払いの見込みがある約束手形といったすぐにお金になる、あるいはお金そのものである流動資産があります。
そして、お金にするのに時間がかかる土地や建物、投資有価証券や製品を作る機械装置などの固定資産もこの項目にまとめます。
つまり、左側には事業のために使っている資産が記されています。
一方、右側は左側の資産を調達した手段がまとめられているのが特徴です。
ここで解説する純資産をはじめ、銀行などからの借金(借入金)や支払いの済んでいない代金(買掛金)などの負債が記録されています。
このように左側(事業に使っている資産)と右側(左側の資産を調達した方法)のそれぞれに分かれているのが貸借対象表です。
そして、右の合計額と左の合計額が一致するようになっていることから、貸借対照表をバランスシート(B/S)と呼んでいます。
純資産は、貸借対照表では事業のために使うための調達方法に入ります。
では、次に実際の会社の場合、どのようなものが純資産になるか見ていきましょう。
会社の場合、純資産は次の4つに分類されます。
・資本金
・資本余剰金
・利益余剰金
・自己株式
資本金は、会社などの話題でよく聞く言葉ですが、一言で言えば株主から出資を受けたお金を言います。
資本金1億円の会社であれば、1億円分の出資を受けている会社であることが分かります。
資本余剰金は、資本金として計上しなかったお金のことです。
実は、株主から資金調達した場合、全てのお金を資本金として計上する事はありません。
一部を資本準備金として用意することがあり、このお金を資本準備金として計上するように決められています。
また、資本準備金は法律により積み立てることが決められており、株を株主に1,000万円で譲った場合、1,000万円を全額資本金にできないようになっています。
そのため、ほぼすべての株式会社に資本余剰金があるといえるでしょう。
利益剰余金は、会社で内部留保されているお金です。
会社で利益が出たら、株主に利益を配当しますが、それでもお金が余ります。
これを貯金することを内部留保と言い、一時期ニュースで話題になった利益を貯める行為です。
最後の自己株式は、買い取った自社株式の金額を言います。
このように4つの項目が会社では純資産として扱われるのです。
純資産がマイナスとは?
純資産は、資本金や資本余剰金、利益余剰金や自己株式の合計金額を言いますが、実はこの部分がマイナスになってしまうことがあります。
一言で言えば、借金や買掛金が大変な金額になってしまったときにおこるとイメージすれば分かりやすいのではないでしょうか。
もう少し厳密に解説すると、貸借対照表の左側(資産)の合計金額よりも負債(借金や買掛金)の金額の方が大きくなってしまった状態を言います。
例えば、資産が1,000万円あるとして、負債が1,200万円ある状態です。
この場合は、バランスシートのルールに則って、左側の資産と右側の金額が同じ金額にしなければなりません。
そうなると、負債と共に右側に来ている純資産をマイナスにしないとつり合いが取れなくなります。
つまりこういう式になってしまうのです。
資産1,000万円=負債1,200万円+「純資産-200万円」
貸借対照表の上で資産よりも負債が多くなった場合に、純資産をマイナスにしてバランスをとるという状態になっているのが純資産がマイナスということです。
債務超過はどういうときになるの?
債務超過が起こるのは、簡単に言えば返さなければいけない借金が増えてしまった時です。
例えば、100万円を借りれば、左側の資産にも現金として100万円が入ります。
この時点では、債務超過ではありません。
ただ、この借りた現金はどんどん投資や人件費で減っていきます。
ここで、きちんと売り上げを出して借金をどんどん返していけば問題ありませんが、売り上げが入ってこないで借金が返せない状態になると債務超過になります。
先ほどの例でいえば、毎月人件費が削られていき、現金が30万円になったとしましょう。
一方で、借金は10万円返したものの、90万円残ってしまっています。
この場合、すでに現金はー60万円(現金30万円から借金90万円を引く)になっています。
このー60万円を補うだけの資産(車や建物)があれば問題ありませんが、仮に資産が全くなければ債務超過になってしまうのです。
少し踏み込んで現金30万円しか資産がなく、負債が90万円、資本金が10万円の場合の貸借対照表で債務超過の金額を見ていきましょう。(現実的にこういった状況はあり得ませんが、例として確認します。)
右側を見ていくと負債が90万円、資本金が10万円なので、合計は100万円です。
これが右側の合計になります。
一方、左側は現金が30万円しかありません。
この場合、右と左の合計金額を同じにするには、左側に70万円分の項目を入れる必要があります。
この70万円分の項目が債務超過の金額です。
テレビで債務超過という報道が出ていますが、資本金と借金、買掛金の合計が、会社の持っているすべての財産の金額をオーバーしてしまっている場合を言っているのです。
お金にできるもの、財産すべて手放したとしても支払いが必要な債務が残っているという、企業にとって絶望的な状態が債務超過といえるでしょう。
債務超過の解消方法は?
債務超過は、何とか避けたいところですが、これを解消する方法は、3つあります。
それは、売り上げを改善する、出資を増やしてもらう、債務を減らしてもらうという方法で、結論を言えば資産を負債より増やしたり、負債自体を減らしたりといったことです。
まず、売り上げを改善してどんどん現金を入れていけば負債が増えることはありません。
むしろ右側にある借入金、買掛金といった債務がどんどん小さくなって超過しにくくなり、現金や預金などの資産を増やせます。
これが理想的な解決手段で、負債はそのままに資産が増えた状態になります。
次に出資をしてもらう方法が挙げられます。
株主に株を買ってもらって現金を増やすことで資産が増えます。
例えば、手元の自社株を他の企業に売って現金などの資産にして資産を増やすのです。
ただし、株主の力が増してしまうので、最悪会社の主導権を奪われるリスクはあります。
最後が債務の免除です。
債務整理のコマーシャルをよく目にすると思いますが、その会社版です。
利子を減らしてもらったり、借入金額を減らしてもらったりといった交渉で債務自体を減らします。
また、価値のある会社だと債権者が判断すれば、債務の金額分だけ株式に転換するDES(デッドエクイティスワップ)と呼ばれる方法も可能です。
ただ、この方法を用いると会社としての信用が下がってしまうことは避けられません。
債務超過だと会社はつぶれる?
ここまで聞くと債務超過は、倒産を意味するような印象を受けますが、実はすぐ潰れる状態ではありません。
この債務となっている負債の一部が身内からのお金になっている場合があるのです。
身内の負債として代表的なのが役員借入金です。
このお金は、役員がお金を貸している状態で、返済のタイミングは、明日にもできれば、30年後にすることもできます。
このような借金をして運営している会社も多いので、貸借対照表を見て債務超過になっているのに堅調な経営をしている会社も少なくありません。
大企業の場合、役員借入金はほとんどありません。
しかし、中小企業の場合は親族で役員になっているケースもあり、社長の弟(役員)が役員借入金をたくさん出しているというケースも多いのです。
大企業では役員借入金がほとんどありませんが、中小企業では意外に債務超過に陥っている企業を目にします。
会社の経理をしていて、貸借対照表を見たら債務超過になっていて焦ったという方も、意外にこういった事情で普通に経営している会社もあるということを知っておきましょう。
